1.介護と相続はセットで考える

縁起でもない!と怒らないでください。
たとえば都市部などでは2世帯住宅も人気です。

同居して親孝行でき、介護にも対応できる。両方の世帯のプライバシーも守られ、しかも実は相続税対策にもなって最後はしっかり節税できるなどが人気の理由です。
この2世帯住宅もそうですが、亡くなってからでは遅いですし、介護が必要になってからと思っていても間にあわないかもしれません。

また、介護費用が必要になったらこの不動産を売ろうと思っていても、実は売るのは困難かもしれません。
親に介護が必要になってきたら、家族で生前贈与や遺産分割について考えておいてもいいと思います。

親の介護は、どうしても近くに住んでいる親族に負担がかかってしまいます。
負担の多いものに多めに遺産を相続させたり生前贈与したりすることを早めに話し合っておくことで、一族が争う「争族」をさけることもできるでしょう。

万が一、親が認知症になってしまったら、家の処分や遺言書を書いてもらうことも困難になります。
介護と相続はセットで考え、早め早めに動くのがベストです。

【ご案内】
一般の方が相続の生前対策や遺産分割協議を行う場合、最も困るのが、「不動産の時価がいくらなのか?」、「売ってしまったほうがよいのか、それとも他の有効活用策があるのか?」といった点です。
この解決に時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」をご活用ください。

» 目次に戻る

2.一族が争う「争族」・・・最近の傾向

「相続はお金持ちの問題」、「うちはみんな仲がいいから相続でもめることなんて・・」と思っていませんか?
でも、遺産分割に関して家庭裁判所に持ち込まれる事件数は40年前のほぼ3倍になっています。しかもその4分の3が相続財産5000万円以下。そして財産額の大きな部分を不動産が占めています。マイホーム1軒と預貯金少々・・。もめているのは一般庶民なのです。

なぜもめるのでしょう?
親の介護をした人としない人との間でもめるケースがふえているようです。

昔は長男が財産を引き継ぎ、親の面倒もみるという考え方でした。
でも、いま、子どもたちはみんな平等。親の面倒も法律上は子どもたちがみんな平等にみるべきものです。
でも、実際には介護はどうしても近くに住んでいる子など特定の人に負担がかかってしまいます。それなのに介護しなかった子も平等に財産がほしいと言い出す・・・。

このとき、親が遺言書を書いておくといった配慮をしていなければ、子は平等が原則ですので介護してくれた子が争ってもその子の取り分が多くなるということはあまりありません。

かといって、マイホームは介護してくれた子に、他の子には貯金少々というのもバランスが悪くてもめる元。

負担の多い子が多めに遺産を相続できるように遺言書を書いておく、その気持ちを他の子にもわかるようにしておく、不動産をもらえなかった者に対しては、その者の本来の法定相続分や遺留分に配慮して金銭清算するようにする、介護費用に充てるために売ってよい不動産については売りやすいように対策をしておくといった配慮が争いを減らします。

こういったことは「財産問題」といえばそうですが、争いをさけたり、介護の負担感を減らしたりするための、大事な「親の思いやり」なのです。

【ご案内】
金銭清算しようとしても、そもそも不動産はいくらなの?という点で行き詰まってしまいます。また、不動産については分割や清算の際、プロの目からみて注意してほしい特有の点があります。また、高額な財産である不動産については、疑問はすっきりさせたうえで自信をもって判断したいものです。
「すまいるリポート」は第三者的、専門的見地からコンサルティングを行い、みなさんが自信をもって判断を行えるようにする商品です。
一般の方に広くご活用いただけるような内容、価格設定です。

» 目次に戻る

3.相続完了までの大きな流れ

相続完了までの大きな流れをつかみましょう。

①相続の発生 ②遺言の有無、内容の確認 ③相続人の確定 ④遺産、債務の概要を把握 ⑤不動産の調査・評価 ここが重要! ⑥遺産分割協議、不動産の売却等、相続税の納税

⑤の不動産の「評価」額といっても、
(1)相続税額を計算するための評価額と
(2)相続の生前対策や遺産分割協議の際必要となる「時価」
があり、両者は分けて考える必要があります。

(1)は基本的に相続税路線価等に基づいて、決められた計算方法で機械的に計算すれば足ります。
でもこれは「時価」ではありませんから、これをつかって相続の生前対策や遺産分割協議を行うと不公平な結果となってしまいます。

【ご案内】
一般の方が相続の生前対策や遺産分割協議を行う場合、最も困るのが「不動産の時価がいくらなのか?」、「売ってしまったほうがよいのか、それとも他の有効活用策があるのか?」といった点です。
この解決に時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」をご活用ください。

» 目次に戻る

4.不動産の「評価額」を知るには?

ここが重要!
不動産の「評価」額といっても、
(1)相続税額を計算するための評価額と
(2)相続の生前対策や遺産分割協議の際必要となる「時価」
があり、両者は分けて考える必要があります。

(1)相続税額を計算するための評価額

基本的に相続税路線価等に基づいて、決められた計算方法で機械的に計算すれば足ります。これは相続税の計算用のもので時価ではありません。
このおおまかな「評価額」を知るには、市町村から毎年郵送されてくる固定資産税の「納税通知書」をチェックしましょう。
通知書には建物と土地の「固定資産税評価額」が載っています。
建物はそのままでOK。
土地は相続税路線価をみるか、相続税路線価がない場合、固定資産税評価額を0.7で割り、それに0.8をかけた金額が目安になります。
路線価は国税庁のホームページで確認することができます。

(2)相続の生前対策や遺産分割協議で必要な「時価」

ここで必要なものは「時価」です。
相続税用の評価額や、固定資産税評価額を使う税理士さん等もいるようですが、これはあくまで税の計算用のもので時価ではありません。
時価とかけ離れている場合も多いため、相続人間に不公平が生じがちで、あとあとトラブルのもととなりかねません。
不動産仲介用の査定書を使う方もいるようですが、これについても査定書の本来の目的が違う等であとあとトラブルのもととなりかねません。
では、時価はどうやって判断するのか?

【ご案内】
一般の方が相続の生前対策や遺産分割協議を行う場合、最も困るのがこの点であり、使いやすいものがないために、相続税用の評価額等でお茶をにごしてきたというのが実態かもしれません。
この解決に時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」をご活用ください。

» 目次に戻る

5.「相続対策」は3つに分けて考える

「相続対策」といっても幅広いですが、以下の3つに分けて考えていくとよいでしょう。

対策内容対象者
1財産移転対策どの財産を、誰に、どれだけ移転させるかすべての人
2財産評価対策どう評価額を下げて相続税額を少なくするか相続税がかかってくる人
3財源調達対策相続税の納税資金をどうやって用意するか相続税がかかってくる人

まず自分(の家族)は1だけでよいのか、2や3まで必要なのかをつかんでください。
遺産が少なく相続税を支払う必要がない場合、2や3まで考えても意味がありません。財産を相続人や関係者間で円滑に分配したいだけなら1だけで十分です。

» 目次に戻る

6.一番のポイントは「争族」の回避(財産移転対策①)

財産移転対策の一番のポイントは「争族」の回避。
「どう分ければ相続人間で争いが生じず円満に移転が完了するか?」です。
そのために一番重要なのは「共有はさける」ということです。

現金や預金だと簡単に分割できます。

しかし不動産は、①物理的に分割が困難なことが多い。 ②「1人に相続させて他の相続人には金銭清算」と思っても、清算額を決めるとき、「そもそも不動産の時価がいくらなのか?」という問題に行き着き、不動産の時価はわかりにくいため行き詰ってしまう。 ③売却して現金化すれば分割できるが「そもそも売ったほうがよいのか、持っていたほうがよいのかよくわからない・・・」といったことで、ついつい「とりあえず共有」という方向へ流れてしまいがちです。

しかし共有不動産は、共有者全員の同意によって初めて売却、建て替え等が可能であり、意見を統一するのに時間がかかります。 また、共有者は連帯して固定資産税など公租公課の納付義務を負っているため、誰が公租公課を納付するか、という問題も発生します。

さらに共有のまま放置していると、そのうち共有者も亡くなってその子供に相続・・といったことが続き、やがて共有者同士が「顔も見たことがない」関係となります。

こうなると、話し合いの場を持つことも困難になったり、あるいはお互いが自分勝手なことを要求するようになったりします。

それでは、その不動産は売ることも使うこともできないものになってしまいます。

後のち関係者がこのようなことで苦しむことを避けるためには、ご自身の世代ではっきりとさせておいたほうがよいでしょう。

相続人のいずれか一人に相続させるよう遺言で指定する、あるいは相続人同士で話し合って一人の単独所有にし、他のものには金銭清算するなどの対応が望ましいです。

【ご案内】
一般の方が相続の生前対策や遺産分割協議を行う場合、最も困るのが、「不動産の時価がいくらなのか?」、「売ってしまったほうがよいのか、それとも他の有効活用策があるのか?」といった点です。
この解決に時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」をご活用ください。

» 目次に戻る

7.スムーズな処理のために、前もって自分でできることはある?(財産移転対策②)

(1) 登記名義を変えずに長年放置している。
(2) 共有のまま。
(3) 隣の土地との境界線がはっきりしない。
(1)(2)について

まず、市町村から毎年郵送されてくる固定資産税の「納税通知書」等を手がかりにどんな不動産があるのかつかんでください。
それをもとに法務局で「全部事項証明書」をとって所有者を確認します。

ずいぶん前に亡くなった祖父の名義のまま・・といったこともよくあります。でもこの状態では相続人を全員探す→協議→一人の名義に変える等しないと売却は困難です。

共有の場合も、売却は困難かもしれません。
共有者の同意がないと売れないですし、共有者が亡くなって、その子どもや配偶者が共有持ち分を相続しているような場合、顔を合わせたことのない人同士で話し合いの場をセッティングすることも困難な場合も多いです。

(3)について

隣の土地との境界線がはっきりしない場合、トラブルの元となりますので買い手はためらってしまい、売ろうとしても売りにくいですし、評価も下がります。物納も困難です。
隣地の人と境界を確定して測量し杭を打つことになりますが、隣地の人の都合等もあるので3ヵ月はみておくべきです。

【ご案内】
時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」にはこのような問題点の指摘や解決策のご提案も含んでいます。ぜひご活用ください。

» 目次に戻る

8.相続不動産を所有する場合の注意点(財産移転対策③)

所有するコストやリスクを考える必要があります。

不動産を維持するためには、定期的な手入れが必要です。
草むしり、屋根や外壁の修繕、固定資産税や火災保険料等で年間10~20万円ぐらいはすぐにかかってしまうでしょう。大きな家だと年間100万円以上かかってしまうかもしれません。

今後、固定資産税の負担も増える見込みです。

また空き家で怖いのが火事。近くに住んでいなければ注意のしようもないので管理責任を問われるリスクを考えると目の届かないところにある不動産は手放したほうがよいかもしれません。

相続発生から3ヵ月以内であれば、相続放棄する手もあります。しかし、他のすべての財産も放棄することになり、一度手続きすると撤回はできない点注意が必要です。その他、限定承認という方法もあります。

また、持っていたほうが得かどうかは不動産価格が上昇している時代、エリア、物件かどうか、あるいは税制等によっても変わってきます。

【ご案内】
一般の方が相続の生前対策や遺産分割協議を行う場合、最も困るのが、「不動産の時価がいくらなのか?」、「売ってしまったほうがよいのか、それとも他の有効活用策があるのか?」といった点です。
この解決に時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」をご活用ください。

» 目次に戻る

9.いかに相続税額を減らすか(財産評価対策)

相続税はおおざっぱにいうと、遺産の評価額に税率をかけて計算します。
たから遺産の評価額を下げられれば納める相続税を減らすことができます。

主なものをご紹介しましょう。

  1. 賃貸アパートや賃貸マンションの建設
  2. 小規模宅地の減額特例
  3. 広大地評価の適用
  4. 不動産鑑定評価書の活用
  5. 配偶者への贈与
» 目次に戻る

10.賃貸アパートや賃貸マンションの建設(財産評価対策①)

賃貸アパートや賃貸マンションを建設することにより、相続税をへらせます。

下の例では、自用地評価額1億円の土地+アパート建設費2億円=計3億円だったものが相続税の計算上1億6300万円の評価となり、約46%も評価が下がっています。(注)相続税の計算上、そう評価されるのであり、時価がいくらかは別問題です。

例1
【従前】
  • 土地 自用地評価額 1億円
  • アパート建設費    2億円
    計         3億円
【アパート建設後】
借地権割合70%、借家権割合30%、
建物の固定資産税評価額(新築時) 建設費の60%の場合
  • 土地の評価額
     =自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)
     =1億円×(1-70%×30%)
     =7900万円・・・貸家建付地としての評価額 ・・・a
  • 建物の評価額
     =固定資産税評価額×(1-借家権割合)
     =2億円×60%×(1-30%)
     =8400万円・・・貸家としての評価額・・・b
  • アパート建設後の評価額
      a+b=1億6300万円

ここが重要
このように「アパートを建てると相続税対策になるし、月々の家賃収入で納税資金もためられるから…」ということでアパート建築等をお考えの方も多いとおもいます。

でも一番大事なのは、アパートを建てた後、長期間、高い入居率や賃料を保てるかです。
空室だらけでは、建築費や借金も回収できず大損ということになりかねません。
このへんをしっかり見極めてください。

【ご案内】
時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」にはアパートや賃貸マンション用地として適当かどうかの簡易判定も含んでいます。
ぜひご活用ください。

・「すまいるリポート」で行うのは簡易判定であり、精度に限界があることをご認識いただいた上で、依頼のご検討をお願い致します。
・詳細な検証には「アパート建築業者が提示した収益計画の検証意見書」をご活用ください。

» 目次に戻る

11.小規模宅地の減額特例を利用する(財産評価対策②)

(1)二世帯住宅との関係

都市部などでは2世帯住宅も人気です。

その理由のひとつが実は相続税対策。

相続税で土地の評価額を大きく減らせる「小規模宅地等の特例」の制度があり、この特例の条件を満たせば、同居の子が実家を相続する場合なら敷地(土地)の評価額を最大240㎡(平成27年1月1日からは330㎡)の広さまで80%も引き下げられます。

評価額5千万円の土地も1千万円となり、かなりの節税効果が期待できます。

以前は、親世帯と子世帯の居住スベースが壁で仕切られ、外からしか行き来できない「完全分離型」の場合、この特例は使えませんでしたが、平成26年1月1日以降は、「完全分離型」でも特例が認められるようになりました。

同居して介護にも対応できますし、しかも両方の世帯のプライバシーも守られる、そして最後はしっかり節税できるということで、ますます魅力的になったわけです。

都市部ではどちらかの世帯がもし家を出た場合には賃貸物件として活用できることも、人気の理由のようです。

(2)老人ホームとの関係

相続税の計算上、亡くなった方が居住していた土地を 80%減で計算できる「小規模宅地等の特例」をもうひとつ。

自宅所有者が老人ホーム入居中に亡くなった場合の適用条件が、平成26年1月1日以降から変更されています。

かつては、有料老人ホームなどで「終身利用権」を取得すると、生活の拠点を自宅から移したものとみなされて、相続時に特例が認められず、また、ほかの家族らによって自宅が「いつでも住める状態」に維持管理されていることも適用条件とされていました。

しかし平成26年1月1日以降は、①介護が必要で入所②空き家になっている家屋を賃貸に出していない、という二つの条件を満たせば特例が適用されます。老人ホームの利用者が増えつつある現状に応じた改正といえます。

» 目次に戻る

12.広大地評価の適用(財産評価対策③)

(1)「広大地」とは?

相続税財産評価基本通達24-4に規定されている税務上の「広大地」に該当する場合、その評価額(広大地の価額)を大幅に減らせて、その結果相続税も大幅に減らせます。

なお、ここでいう評価額はあくまで相続税計算用のものであって、遺産分割協議等で必要な「時価」ではないのでご注意ください。

(2)広大地として評価を受けるための条件
  1. その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく広大であること
  2. 都市計画法に規定する開発行為を行う場合に公共公益的施設用地の負担が必要であること
  3. 以下の適用除外地以外のものであること
    ・5万㎡以上の大規模工場用地
    ・中高層の集合住宅等の敷地用地に適している土地
(3)「広大地の価額」の計算方法

次に掲げる区分に従い、それぞれ次により計算した金額によって評価します。

  1. ① 広大地が路線価地域に所在する場合
    広大地の価額=広大地の面する路線価×広大地補正率×地積
    広大地補正率=0.6-0.05× 広大地の地積/1,000
  2. ② 広大地が倍率地域に所在する場合
    その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1当たりの価額を、上記(1)の算式における「広大地の面する路線価」に置き換えて計算します。

【ご案内】
税務上の「広大地」に該当するかどうかの判断は不動産の専門家でも難しい場合も多いです。
時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」では税務上の「広大地」に該当する可能性があるかどうかの簡易判定も含んでいます。
ぜひご活用ください。

・「すまいるリポート」で行うのは簡易判定であり、精度に限界があることをご認識いただいた上で、依頼のご検討をお願い致します。
・税務署提出用の「広大地判定意見書」作成は別料金となります。

» 目次に戻る

13.不動産鑑定評価書の活用(財産評価対策④)

相続税計算上の評価額は全国的に大量に発生する相続について全国一律に迅速処理する必要から、相続税路線価等にもとづき、ある程度機械的に評価されるため、時価とは大きくかけ離れている場合もあります。

たとえば建築条例等によって建てられる建物が制限される土地の場合、土地の時価も制限を受ける分低くなりますが、相続税評価額はそのような事情を反映できずに、時価より高くなってしまうことがあります。

そのような場合に不動産の時価を表示する不動産鑑定評価書等を利用することによって、相続税計算上の評価減を実現できることがあります。

【ご案内】
時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」では不動産鑑定評価書等を活用できるかどうかの簡易判定も含んでいます。
ぜひご活用ください。

・「すまいるリポート」で行うのは簡易判定であり、精度に限界があることをご認識いただいた上で、依頼のご検討をお願い致します。
・「不動産鑑定評価書」等の作成は別料金となります。

» 目次に戻る

14.配偶者への贈与(財産評価対策⑤)

相続財産そのものを減らす対策として配偶者への贈与があります。

婚姻期間20年以上の配偶者に対して自宅を贈与した場合、贈与税の計算に際して2000万円まで控除可能となり、基礎控除110万円と合わせて2110万円まで控除可能となる制度です。

» 目次に戻る

15.相続税の納税資金をどうやって用意するか?(財源調達対策)

生命保険に入る等いろいろあるようですが、不動産に関係するものとしていくつかご紹介しましょう。

(1)不動産を売却して資金を得る

この場合は相続税の申告期限との戦いになります。

相続税の申告期限は亡くなってから10ヵ月。相続税もその期限までに現金で税務署に支払うことが原則。

でも、必ずしも申告期限内に不動産が売れるとは限りません。
10ヵ月以内に税金が納付できないと利子税が課せられるため、相続人は焦ります。なかには、その足元を見て、不動産を安く買いたたこうとするしたたかな業者もいます。

事前に「不動産の時価がいくらなのか?」、「売ってしまったほうがよいのか、それとも他の有効活用策があるのか?」、「売却を妨げる要因があるのか?」等をつかんでおくとスムーズです。

【ご案内】
時価判定等を含んだリポート商品「すまいるリポート」にはこのような問題点の指摘や解決策のご提案も含んでいます。ぜひご活用ください。

(2)物納

物納とは、相続税を金銭で一括納付することが困難で、さらに延納(分割納付)も困難な場合に例外的に認められている制度です。

ただし、どのような不動産でも物納が認められるわけではなく、担保権が設定されている不動産や、境界が明らかでない土地などの物納不適格財産を物納することは認められません。事前に税務署や税理士に確認してください。

また、金銭納付ができない場合の例外的な制度であるため、現預金などがある場合は現預金での納付が優先されますが、工夫次第で物納の適用が可能になる場合もあります。

(3)生前贈与

そのほか財源調達を目的として、家賃収入を得られる収益物件を生前贈与する等があるようです。この際、贈与税負担を抑えるために建物のみを贈与し、併せて「相続時精算課税制度」を活用する等が行われているようです。

» 目次に戻る

16.地価が上がりそうだが、相続税への影響は?

相続税は金持ちの話で私には関係ない?
でもこれからは注意が必要です。

相続税は以下の手順で算出します。

16.地価が上がりそうだが、相続税への影響は?

そして、平成26年末までは
基礎控除額=5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
です。

ということは、相続人が妻と子2人の3人の場合、基礎控除額は5,000万円+(1,000万円×3)=8,000万円ですので、遺産が8,000万円以上ないと結局相続税はかかりません。だから、「相続税は金持ちの話」でした。

しかし、平成27年1月1日以後の相続については
基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
になりますので、上の相続人が妻と子2人の3人の例では基礎控除額は3,000万円+(600万円×3)=4,800万円となって、いっきに庶民に近づいてきます。

これまで相続税の対象になっていた世帯は課税額が増え、対象ではなかった世帯も新たに対象となってきます。

さらに、平成25年分の「相続税路線価」は、アベノミクスの影響からか、全国的に下げ止まりの傾向を示し、大都市部では上昇傾向が鮮明になっています。

相続税を計算する際、土地の評価額については原則、相続税路線価で判断しますので、路線価が上がると相続税も増えてしまいます。
平成27年1月1日からは、相続税の基礎控除引き下げと地価上昇で相続税の面ではダブルパンチだといっていいでしょう。

路線価は国税庁のホームページで確認することができます。

» 目次に戻る